裁判途中にもかかわらず、避難者の追い出しの強制執行に着手した福島県が錦の御旗にしているのが福島地裁の一審判決。福島地裁が仮の強制執行を認める判決を下したから、自分たちは単にそれを粛々と実行したに過ぎない、と(民の声新聞が福島県に取材した記事参照)。
では、その福島地裁判決というのはどういう内容か。これを全面的に論じたのが判決言渡し直後の弁護団声明(>こちら)と控訴理由書(>こちら)。
なかでも、退去に対する福島地裁判決の考えが最も鮮明に表明されているのが次のくだり。
《被告らの主張が、本件各建物から退去することにより、 被告らの生存権等が侵害されるとの趣旨を含むものであるとしても、それらは生活保護その他の社会保障制度によっても補完しうるものであり、 本件各建物への居住の継続が認められないことをもって被告らの生存権が侵害されたとはいえない。》(29頁3~7行目。>判決の全文PDF)
すなわち、判決が退去を命じても避難者の生存権の侵害にはならない、なぜなら退去のときには生活保護その他の社会保障制度が避難者の最後のセーフティネットとして機能するから、と。
判決の「生活保護=セーフティネット」論が日本の生活保護の現実から遊離し、ひとり裁判官の頭の中でのみ存在しうる観念上の想定の中で考えて判断したものであって、独断的判断の典型であり、不合理極まりない欺瞞的なものであることは【第137話の続き2】の投稿で明らかにした通りです。
今、この投稿を読んだ方から、今回の福島県の強制執行にお墨付きを与えた福島地裁判決に対する率直な感想が寄せられたので紹介します。あなたも感想がありましたら、お寄せ下さい(>oidashistop-clafan@song-deborah.com まで)。
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(敬称略)
◎福島地裁判決への批判文章、拝読しました。
まったく、世間を知らないままの酷薄な判決ですね。
それも、加害者の原子力マフィアの一員として、被害者にさらなる苦難を強いるものです。
許しがたいものと思います。
(2024/3/25 小出 裕章)
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