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2019年7月16日火曜日

【第6話】議会制民主主義の機能不全・内部崩壊に一喜一憂せず、民主主義の原点に立ち返る、それが市民立法。

私は福島原発事故前まで、原発事故が起きるなんて、そして、それがどれほど過酷な事態を引き起こす国難であるか一度も考えたことがありませんでした。その程度の、無知で能天気な市民、つまり普通の市民の一人でした。
2011年、いざ原発事故が目の前に起きた時、原発事故がどれほど過酷な事故であるかは、日本政府がここまでやるのかと思うほど住民の生命軽視・無視の、滅茶苦茶な対応を次々とやってくれ、それを目撃しただけで明らかでした。後の歴史家はこれを法的なクーデータ=3.11事件と呼ぶでしょう。

福島原発事故直後に発令された緊急事態宣言は8年たった今なお解除できず、私たちは今もずっと「見えない政変」の中にいます。今日、日本の政治家が右往左往し、かつてないほど劣化している最大の原因は単純明快です3.11の「法的なクーデータ」「見えない政変」がもたらした命軽視・無視の異常事態という日本の今の最大の問題正面から向き合おうとしないからです。
だから、今行われている国政選挙で、「命軽視、無視の異常事態の抜本的な是正」を第1に掲げる与党、既成野党はおらず、「命の復興」を願う市民にとって、この選挙は(ごくごく一部の例外を除き)生きる屍たちによる選挙です。もういい加減にしてくれ!

政治家が劣化して無力の時、それをただすのは私たち主権者しかいません。私たちが劇場型政治の見物客に甘んじている限り、命軽視、無視の異常事態は永遠に解決しません。

命軽視・無視の異常事態をただす第一歩は、放射能汚染地に住む人たちに今すぐ「命のビザ」を発給し、その上で市民本位の生活再建・地域復興を進めることです。それがチェルノブイリ法日本版の制定です。それは私たち市民が力を合わせ、私たちの住む町で条例制定することから始めれば可能です。
絶望にも正しい絶望と誤った絶望※1)があるように、希望に正しい希望と誤った希望がある。今、私たちにとって正しい希望とは3.11の法的なクーデータがもたらした過酷な現実=命軽視・無視の異常事態と正面から向き合う中からしか見つかりません。
私たち主権者が正しい希望を掲げて手をつなぐことこそ最強の力です。
そして、その正しさを理解し、私たちが主権者として立つことを応援する政治家こそ21世紀に生き残れる政治家です。
以下はそれを訴えた文章です。 

※1)議会が劣化して、機能不全に陥った時、それは民主主義の機能不全ではなく、単に劇場型政治の議会制民主主義が機能不全になっただけのこと。民主主義に絶望するのは誤り。私たち民主主義の原点=市民の自己統治に向かえ教えている。

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新しい酒を新しい皮袋に盛る市民立法「チェルノブイリ法日本版」

2019年7月13

福島原発事故で私たちは途方に暮れました。日本全土と近隣国を巻き込み、過去に経験したことのない未曾有の無差別過酷災害だからです。ところが未曾有の事故にもかかわらず、従来の災害の発想で救助・支援が行われ、そして支援は打ち切られました。「新しい酒は新しい皮袋に盛れ」、これが私たちの立場です。未曾有の無差別過酷事故には未曾有の無差別の救済が導入されるべし、それが健康被害が発生しようがしまいが事前の一律救済を定めた、原子力事故に関する世界最初の人権宣言=チェルノブイリ法です。

福島原発事故で私たちは途方に暮れました。放射能は体温を0.0024度しか上げないエネルギーで人を即死させるのに、目に見えず、臭わず、痛くもなく、味もせず、従来の災害に対して行ったように、五感で防御するすべがないから。人間的スケールでは測れない、ミクロの世界での放射能の人体への作用=電離作用という損傷行為がどんな疾病をもたらすか、現在の科学・医学の水準では分からないから。つまり危険というカードが出せない。にもかかわらず、危険が検出されない以上「安全が確認された」というサギの発想で対応し、その結果、人々の命、健康は脅かされました。「危険が検出されないだけでは足りない。安全が積極的に証明されない限り、人々の命を守る」、これが私たちの立場です。つまり人々の命を被ばくというロシアンルーレットから守る。それが予防原則で、これを明文化したのがチェルノブイリ法です。

福島原発事故で私たちは途方に暮れました。最初、人々は除染で放射能に勝てると教えられましたが、それが無意味な試みと分かると口を閉ざしたからです。避難できず、苦悩が人々の避難場所となりました。「苦悩という避難場所から脱け出し、真の避難場所に向かう」、これが私たちの立場です。それが美しい謳い文句にとどまらず、現実に、安全な避難場所に避難する権利を保障したチェルノブイリ法です。

原発事故の本質は戦争です。国難です。他の全ての課題に最優先して、その全面的救済を実現する必要があります。同時に歴史の教えるところは、国難において、国家はウソをつく、犯罪を犯す。現場にどんな悲劇があっても、一人一人の市民がその生死をかけて立ち上がらなければ何も生まれない(田尻宗昭)。
それが、20183月スタートした、市民主導で日本各地から条例制定を積み上げていく、市民が育てる「チェルノブイリ法日本版」の会の市民運動です。

                  2018年3月の結成集会

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