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2019年7月21日日曜日

【第8話】「なかったことにする」第2弾:「倫理違反も研究不正もなかった」とした東大・医大の調査委員会報告の問題点(2)(調査結果の通知が来るまでのてんまつ【東大編】)(2019.7.21)

続いて、2つの大学(東大、医大)から、申立から研究不正の調査結果が届くまでのてんまつ(起承転結)の東大編。医大編とてんまつの起承転までは->こちら

 ・ (東大)
今月18日医大からペラ1枚の通知書が届いたのを受けて、医大より先に申立をした東大の進行状況を知るため、同日昼、以下のメールを東大に送信。


Subject: 進行状況についてお尋ねの件

東京大学本部研究倫理推進課 さま
昨年12月に貴大学に研究不正等に関する申立をしました島明美氏の代理人の柳原敏夫です。昨日、同様の申立をしました福島県立医大から「調査結果」が出た旨の連絡がメールでありました。そこで、貴大学の調査の進行状況についてお尋ねさせていただいた次第です。可能な範囲で、現在の状況を教えて頂くようお願い申し上げます。
 


すると、同日の夕刻、東大から木で鼻をくくったような以下の返信があった。


申立者代理人弁護士 柳原様

東京大学研究倫理推進課です本学においては、本学科学研究行動規範委員会規則に則って進めています。

すぐさま、具体的に教えて欲しいと、再度の問い合わせメールを送信。

東京大学本部研究倫理推進課 さま

島明美氏の代理人の柳原敏夫です。ご多忙な中、返信、ありがとうございました。

> 本学においては、本学科学研究行動規範委員会規則に則って進めています。

はい、貴大学が規則を無視して進めているとは豪も疑っておりません。私どもが知りたいことは、単に、手続の現状に関する情報、つまりどこまで調査を進み、どのような予定でおられるのか、可能な範囲で説明をいただきたいということです。これについて、ご検討、ご回答をよろしくお願いいたします。

しかし、翌日の朝に返信がなかったので、、再度、問い合わせメールを送信。
東京大学本部研究倫理推進課 さま

島明美氏の代理人の柳原敏夫です。昨日の貴大学の返信に対し、再度、現時点で判明している本件調査の手続の進行状況について、可能な範囲で説明を求めます。

「行政の透明性」という基本原理に基づく質問ですので、誠実な対応を臨みます。速やかな回答をお待ちしています。

これに対しても返信がなく、そこで、当日19日11時22分、東大窓口に電話をかけ、調査の進行状況()をについて「現時点で決まったことはないのか」という質問に対し、担当者は「ない」とのこと、そして「決まったら、メールで通知する」との回答。こちらは「お願いします」と依頼。


 
)本格調査に入ったあとの手続の流れは、
①.設置された調査委員会で 被申立者や関係者の聞き取り(聴取)など調査を実施。
②.調査委員 会で調査結果を取りまとめ、科学研究行動規範委員会に報告。
③.科学研究行動規範委員会で調査委員 会の調査結果に基づき、不正行為の認定の有無等について審理し、裁定を行う。
④.委員長は、裁定結果について、総長、関係省庁等に報告、申立者及び被申立者者に通知。

 以上のやり取りについて、「東大はウソをつく」と前提とせず、「真実を語る」とまともに受け止めた私は、調査の進行状況について、問い合わせ時点で、本件申立に対して設置された調査委員会の調査結果も出ていなければ、当該調査結果に基づき東京大学科学研究行動規範委員会も開催されていなければ、同委員会の不正行為の有無の認定もされていなければ、当該認定に基づいた調査結果の裁定もまだないと解釈した。だから、調査結果が出るのは来週、参議院選挙が終ってからになると思った。

そう思って、19日14時から開いた緊急の記者会見では、もっぱら医大の調査結果だけを報告。会見は予定通り終了し、関係者一同、解散する間際の16時59分、申立者の島明美氏のスマホに1通のメール。それは東大からの調査結果の通知。

日付: 2019年7月19日(金) 16:59
件名: 【通知】科学研究行動規範委員会申立案件について
島 明美 様
東京大学研究推進部研究倫理推進課です。
貴殿からの平成30年12月18日付の申し立てについて、調査結果を通知いたします。
通知文等については、下記URLからダウンロード願います。
https://webfs.adm.u-tokyo.ac.jp/‥‥・(パスワードは後ほど送信します。)
なお、本メールを受領いたしましたら、受領確認のメールを返信くださるようお願いいたします。

東大はまんまと、今年最大のイベントである国政選挙直前の金曜日のアフターファイブギリギリに調査結果の通知を出し、申立者がそのあと記者会見を開こうにも、選挙のため記者は誰も来ないという理想的なタイミングを実現してみせた。その計算通り、記者会見はボツ。
そこには、「メディアを活用して宮崎早野論文不正問題を国民に知らせようというお前たちの企みはおれたち東大が絶対阻止するぞ」という不退転の決意があった。

他方、被申立者の早野龍五氏は、アフターファイブと同時に、例のツイッターで、「不正に当たらないとの裁定」と身の潔癖をがんがんアピール。

さすが我が国最高の知性集団!

だから、事前に、このシナリオを狂わすような質問をしてきた代理人に対しては徹底してカマトト作戦で対抗。けれど、電話で問い詰められたら、結局、担当者は「何も決まっていない」と全面的に白を切る羽目となった。
これは明々白々の情報隠蔽、手続不正だ。
ここには、倫理違反、研究不正の疑いにより、科学技術に対する信頼が失われたという由々しい事態から信頼回復を勝ち取るためには、行政作用一般の嚮導的法理である「行政の公正・透明性の原則、説明責任の原則」の基本原理に沿って厳格に運用される必要があるのに、それを実行しようという誠実な姿勢のカケラもない。あるのは全面的開き直りだけ--東大の研究者の倫理違反、研究不正がこれ以上明らかにならないように、調査委員会が身を挺して彼らを守る、という。
その傲慢不遜の開き直りの姿勢が、 調査結果の通知というゴールの場面で鮮やかに噴出した。
国政選挙直前の金曜日に調査結果公表をぶつけてきた医大のえげつなさが、東大のやり方を見せつけられた後ではまだ可愛いらしく思えて来るのは私だけでしょうか。

この日の東大のてんまつを聞いた伊達市民から
「東大は閉鎖すべきだ」
という声があがった。
これはまだ一人の声、点の声でしかない。しかし、それは天の声かもしれない。

すべては、「なかったことにする」に「理不尽だ」と抵抗する市民一人一人の声、行動、その連合(ネットワーク)にかかっている、ソウルオリンピックを控えた1987年の民主化運動のように。

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