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2019年7月21日日曜日

【第7話】「なかったことにする」第2弾:「倫理違反も研究不正もなかった」とした東大・医大の調査委員会報告の問題点(1)(調査結果の通知が来るまでのてんまつ【医大編】)(2019.7.21)

先月(6月3日)、「福島の小児甲状腺がんと被ばくの関連性はなかった」ことにした福島県の報告書に続いて、今度は伊達市民の個人線量データを無断で使用した「宮崎早野論文に倫理違反、研究不正はなかった」ことにした福島県立医科大学(医大)と東京大学(東大)の報告書が、今年最大のイベント参議院選挙直前の19日(金)に予告もなく、突如、申立人を通り越してネットで公表された。

来年の東京オリンピックを控え、福島原発事故は完全に収束したことを世界に知らしめるため、三無主義(定義なき、説明なき、合理性なき)の「風評払拭」キャンペーンが先月の健康被害は「なかったことにする」に続いて、今月の、「放射能はそれほど怖くない」を内容とする論文の倫理違反も研究不正も「なかったことにする」と目白押しだ。
しかし、その中身たるや、三無主義(定義なき、説明なき、合理性なき)の奈落の底に突き進んでいる感がある。

以下、医大と東大の研究不正の調査申立を行った申立者(告発者)代理人による報告です。
その1は、2つの大学から、申立から研究不正の調査結果が届くまでのてんまつ(起承転結)です。
・起
伊達市民の島明美氏は東大規則と医大規則にもとづき、申立者(告発者) として、倫理違反と研究不正の真相解明の調査を求める申立を、2018年12月18日に東大、2019年1月8日に医大に申立てた。

・承
 いずれも受理され、本格調査に入るかどうかを確認するため、予備調査が開始されました。規則では「申立受理の日から原則30日以内に予備調査の結果を委員長に報告」なのに、本格調査に入ると連絡があったのは、東大が申立から49日後の2月4日、医大が45日後の2月21日。

・転
 申立者(告発者)は、自ら、または協力の研究者の聞き取りにより、倫理違反と研究不正の真相解明に協力、貢献したいと調査への積極的な参加を申し出たが、完璧に黙殺され、以後、外部から全く姿の見えない秘密会として調査が進められた。


・結(医大)
最初に連絡があったのは医大だった。今年最大のイベント参議院選挙の終盤の今月17日(水)17時3分に代理人にメールが届く。



Subject: 【福島県立医科大学】2019.1.8付け申立書に係る調査結果について



平素よりお世話になっております。

さて、本年18日にご提出いただきました島明美様からの申立書に係る調査結果

につきまして、本日(7/17)付で島様宛の通知書を発出いたしましたので、お知

らせいたします。



当該通知書につきましては、本件代理人の柳原様宛にレターパックにて送付させ

ていただいており、明日(7/18)にはお手元に届くと思いますので、ご確認のほ

どよろしくお願いいたします。



なお、通知書にも記載いたしましたが、本件については、本学として調査結果の

概要を公表する予定でおり、719日(金)13時を目途に、本学ホームページ(

https://www.fmu.ac.jp/)に掲載する予定です。



調査結果の詳細につきましては、ホームページに掲載される調査結果の概要にて

ご確認いただければ幸いです。

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最後の「調査結果の詳細はHPの調査結果の概要を参照」が意味不明だったが、通知書が届けばその謎も判明すると、レターバックを待っていたところ、18日届いたレターバックに入っていたのはなんとペラ1枚の紙切れのみ(末尾の画像)。しかも、調査結果が書かれていたのはそのうちのたった4行の結論だけ(以下の通り)。

こんな、けんもほろろの三行半の調査結果の報告書で、どうして「失われた科学技術に対する信頼を回復する」ことができるのだろうか。「失われた科学技術に対する信頼回復」なんて真面目に考えていないことを自ら証明しているだけだ。

  

 とはいえ、医大もさすがに、これだけではマズイと思い、4行の調査結果の詳細は、参議院選挙直前のクライマックスまで待てばホームページで見れると書いてよこした。

 しかし、おかしい。なんで、様々なプレッシャーがあることも覚悟して、自ら告発者として研究不正の申立に及んだ市民が、調査結果の詳細について、本来ならこの通知書と一緒に受け取るべきなのに、なぜ一般公開まで待っていなければならないのか、全然納得がいかない。

医大に、直ちに調査結果の概要を提供するように求めたところ、以下の回答。



今回、結果通知を発出するにあたり、学外の一般の方からの告発であることを考

慮し、結果通知書上に公表日時を併記し、事前にお知らせさせていただいた次第

です。



何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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しかし、告発者が「学外の一般の場合」と「学内の場合」で、調査結果の概要について取り扱いを異にするという規則はないはずで、直ちに「調査結果の概要」を提供したらどう困るのか、どういう不都合があるのか全く示されていない。説明責任が果たされていない。

‥‥言い換えれば、医大は、直ちに調査結果の概要を提供したらどう困るのか、どういう不都合があるのか口に出せない、言えない訳がある。

それは、

今年最大のイベント国政選挙直前の金曜日にぶつけて「調査結果の概要」を公表しようとしていた魂胆が、告発者がもっと早くこの「調査結果の概要」を公表してしまったら、せっかくの目論見が水の泡になってしまうから。



俺たちが散々苦労して仕組んできたシナリオをお前らに、邪魔させないぞ!

               ()レターバックに入っていた唯一の書面(通知書)


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