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2019年9月9日月曜日

【第27話】同じ「開かれなかった委員会を開いたことにして議題を承認した」公文書を偽造しながら、一方の会津大学は謝罪の記者会見をし、他方の東京大学はだんまりを決め込むのはなぜだ?

1、北の会津大学
先月8月9日、NHK福島放送局のニュースで、この日、福島県立の会津大学は記者会見を開き、「実際には開かれていない委員会を開いたことにして、議題が承認された」内容の公文書を大学の職員(30代男性)が偽造したとして、謝罪した(しかし、NHKは飼い主にこっぴどく叱られたらしく、「なかったことにしろ!」と、このニュースをあっという間にネットから削除)。

問題の公文書とは、 昨今、宮崎早野論文の倫理違反問題でお馴染みの、大学研究者の研究で個人のプライバシーの扱い等が適切かを事前に審査する、大学の「研究倫理委員会」で作成した文書。
今回、会津大学の研究者が行う2つの研究について、事前審査をおこなう「研究倫理委員会」が、「実際には開かれていなかったのに開いたことにして」、研究が承認されたという文書(通知書)が作成されたという。

「実際には開かれていない委員会を開いたことにして、議題が承認された」というのはウソをつくことだから、その内容の公文書は「虚偽の公文書」である。その作成行為は虚偽の公文書作成することだから、これは「3年以下の禁錮又は30万円以下の罰金」の虚偽公文書作成罪(刑法156条)という立派な犯罪である。記者会見して謝って済む問題ではない。

言うまでもなく、大学の「研究倫理委員会」の議決は委員のみが承認する権限を持ち、その承認文書の作成権限も委員にある。承認文書を委員が知らないうちに、大学の一職員が作成するなんてあり得ない。今回の会見では、「大学の職員(30代男性)が作成した」と公表したが、茶番もいい加減にして欲しい。これは悪事を暴かれたので、大学の職員をスケープゴート(いけにえ)にして幕引きを図る冤罪事件ではないのか。

 ところが、これよりもっとスゴイのが東京大学の公文書偽造事件だ。

2、東の東京大学
会津大学と同様、東京大学も 「実際には開かれていない委員会を開いたことにして、議題が承認された」内容の公文書を作成した。
こちらは教員人事を行う「分野選定委員会」で作成した公文書。
この問題は、東京大学が教授人事の不正を行ったとして、大学教授から「学問の自由の侵害」を理由とする訴訟の中で主張された(柳田辰雄VS東京大学「学問の自由」侵害裁判。その詳細は->こちら)。

問題の公文書は、以下のもので、原告の東大教授が学融合のために推進した教授人事で、分野について審査をおこなう「分野選定委員会」が、「実際には開かれていなかったのに開いたことにして」、分野の変更が承認されたという公文書(議事録)が作成されたというもの。
これは会津大学と同様、れっきとした虚偽の内容の文書であり、虚偽公文書作成罪(刑法156条)が成立する。
しかし、これを指摘された東京大学は、謝罪の記者会見をするどころか、自らの犯罪を「なかったことにして」だんまりを決め込んでいる。
大学で、「実際には開かれていない委員会を開いたことにして、議題が承認された」という虚偽の内容の公文書を作成されたことが判明した時、会津大学は謝罪の記者会見を開いたのに、裁判で訴えられた東京大学は深い沈黙の中にだんまりしたままである。どうしてこんな格差が生じるのか。

それは昨年暮れから騒がれている、早野龍五東京大学名誉教授らの論文不正問題を見れば一目瞭然だ()。東京大学という名前は人々をマインドコントロールする上で、依然、強力な威力を持っており、それゆえ東京大学の信用低下をもたらすスキャンダルは何としてでも阻止しなければならない。そこで、東京大学のスキャンダルのもみ消しに、 政府、裁判所、マスコミ、大学当局らが一丸となって精を出すからだ。
それに比べれば、小物の会津大学の信用低下はたいした問題ではない。それゆえ、会津大学のスキャンダルのもみ消しには応援部隊はほとんどない。彼らは自給自足で解決策を探るしかなく、そこで、トカゲの尻尾切りをして、弱者をいけにえにした謝罪の記者会見を開いて幕引きを図ることになる。

 私たちが真相解明すべきなのは、こうした小物ではなく、政府、裁判所、マスコミらから手厚く守られている巨悪たちのスキャンダルである。それは私たちの命、健康、暮らしに絶大な影響を及ぼすからである。
犯罪を「なかったことにする」巨悪たちのスキャンダルに対して、私たちに残されていること--それは「なかったことにはさせない!」である。
柳田辰雄VS東京大学「学問の自由」侵害裁判はその挑戦の1つである。

 早野龍五東京大学名誉教授らの論文不正問題の詳細は以下を参照。
・【第7話】「なかったことにする」第2弾:「倫理違反も研究不正もなかった」とした東大・医大の調査委員会報告の問題点(1)(調査結果の通知が来るまでのてんまつ【医大編】)(2019.7.21) 
・ 【第8話】「なかったことにする」第2弾:「倫理違反も研究不正もなかった」とした東大・医大の調査委員会報告の問題点(2)(調査結果の通知が来るまでのてんまつ【東大編】)(2019.7.21)
・【第9話】「なかったことにする」第2弾:「倫理違反も研究不正もなかった」とした東大・医大の調査委員会報告の問題点(3)(【医大編】調査委員会の運営の基本原理から逸脱)(2019.7.21) 
・【第10話】「なかったことにする」第2弾:「倫理違反も研究不正もなかった」とした東大・医大の調査委員会報告の問題点(4)(【医大編】二重の基準で実施された事実認定)(2019.7.21) 
・【第11話】「なかったことにする」第2弾:「倫理違反も研究不正もなかった」とした東大・医大の調査委員会報告の問題点(5)(【医大編】倫理違反の事実認定の間違い)(2019.7.22)
・【第12話】「なかったことにする」第2弾:「倫理違反も研究不正もなかった」とした東大・医大の調査委員会報告の問題点(6)(【東大編】「倫理違反は本委員会の範囲外事項」として却下したのは完璧な誤り)(2019.7.22) 
・【第13話】「なかったことにする」第2弾:「倫理違反も研究不正もなかった」とした東大・医大の調査委員会報告の問題点(7)(【東大編】最初からずっと不透明、不公正、無説明だった)(2019.7.23)
・ 【第14話】「なかったことにする」第2弾:「倫理違反も研究不正もなかった」とした東大・医大の調査委員会報告の問題点(8)(【東大編】東大から申立者と被申立者にちがう結果通知が届いた?!)(2019.7.23) 
・【第15話】「なかったことにする」第2弾:「倫理違反も研究不正もなかった」とした東大・医大の調査委員会報告の問題点(まとめ)&記者会見動画(2019.7.23)

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