「俺はあいつらベトコンたちに何の恨みもないんだよ」
「ベトコンは俺を“ニガー(黒んぼ)”と呼ばない。あいつら
には何の恨みも憎しみもないし、殺す理由もない。」
「俺はベトコンを殺しになんか行きたくない」
ベトナム戦争の徴兵を拒否したモハメド・アリ
国際放射線防護委員会(ICRP)という民間の団体がある。このたび、このICRPが日本の福島原発事故の経験を踏まえて、彼らが事故前の2007年に発表した、人々の放射能の安全基準(2007年勧告)を修正する新しい基準(案)を英文で公表し(→そのHP)、一般からのコメントを募集していると言う(→これを紹介したOurplanetの記事)。
日本の福島原発事故の経験を踏まえた新しい基準を、事故の最大の被害者である日本市民に理解、賛同してもらおうと思う気持ちがあれば公表と同時に日本文でも公表するのが当然だ。しかし、今回の公表でICRPにはそんな気持ちはさらさらないことがストレートに伝わった。
「日本市民?お前たちは関係ねえよ」これがICRPの明快なメッセージであり、私は日本市民のひとりとして、ICRPのこの傍若無人な態度に、はらわたが煮えくり返るのを押さえている。
また、ICRPは前回の2007年勧告を修正案についてコメントを求めている。しかし、私は修正案にどうこう言う気には到底なれない。修正案の元になった2007年勧告自体が根本的におかしいと言わざるを得ない誤りを犯しているからだ。
ICRPは1934年に勧告を出して以来、低線量被ばくが人体にもたらす健康被害の危険性を、遅きに失するとはいえ徐々に受け入れ、放射能の安全基準(防護基準)をじわりじわりと厳しくしてきたという長い歴史がある(→ICRPの「安全基準の変遷のグラフ」参照)。
ところが、その安全基準の厳格化への歴史が2007年で、突如くつがえり、安全基準の大幅緩和を導入した。緊急時被ばく状況、現存被曝状況という意味不明の言葉の下に、原発事故で被ばくをするとそれぞれの状況で年間20~100ミリシーベルト、1~20ミリシーベルトに安全基準が引き上げられ、大量被ばくの容認が導入された。それは、ICRPのそれまでの安全基準の厳格化への歴史と完全に切断されていて、クーデータが起きたとしか言いようのない反動的、異様な内容である。それが2007年勧告の正体だ。
これは、放射能の深刻な影響を受けやすい子どもも含めて、人々は原発事故で放射能を浴びると、放射能に負けない丈夫な身体に変身することを前提にしたものだ。しかし、私は、被ばくしたら子どもたちは放射能に負けない身体に変身する、なんて信じない。福島原発事故の後、中央と福島県のお偉いさんたちは自分たちの子ども、孫、家族をただちに避難させたことを絶対忘れない。彼らの行動こそ、正真正銘、放射能の安全基準のバロメーターだ。彼らこそ被ばくしても「子どもたちや大人は放射能に負けない身体に変身しない」ことを人一倍理解し、三十六計逃げるに如かず、ただちに避難行動に出るべきであることを雄弁に証明している。
原発事故で被ばくしても「子どもたちや大人は放射能に負けない身体に変身しない」以上、原発事故後も、少なくともそれまでの放射能の安全基準を維持するのが正しい。すなわち、最低でも、2007年勧告以前にICRPが自ら勧告していた年間1ミリシーベルトを維持するのが正しい安全基準である。
これが福島原発事故の過酷な経験を踏まえた正しい安全基準である。
日本の福島原発事故の経験を踏まえるのであれば、ICRP は、不当な条例改正案を撤回した香港のように、ただちに、2007年勧告の緊急時被ばく状況、現存被曝状況を撤回して、少なくとも、2007年勧告以前の年間1ミリシーベルトに戻すべきである
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