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2023年3月13日月曜日

【第101の2話】追出し裁判の控訴理由書を提出&追出し裁判のこの間の振り返り(2023.3.13)

          2021年5月14日、福島地裁前(第1回期日)

1、追出し裁判の振り返り(報告)

自主避難者の追出し裁判の一審(福島地裁)の第1回期日(2021年5月14日)から判決言渡し(2023年1月13日)までの経過は以下に報告しました。

【第68話】 5.14世界の常識(国際人権法)でもって日本の非常識(避難者追出し)を裁く「避難者追出し訴訟」第1回口頭弁論の報告

 【第70話】7.8世界の常識(国際人権法)でもって日本の非常識(避難者追出し)を裁く「避難者追出し訴訟」で、我妻栄と丸山真男を狂言回しにした国際人権法の主張書面提出

 【第71話】8.6世界の常識(国際人権法)でもって日本の非常識(避難者追出し)を裁く「避難者追出し訴訟」第2回口頭弁論の報告

 【第72話】「国際人権法で逢いましょう」(避難者追出し訴訟の被告の主張「国際人権法」について)

 【第77話】10.8世界の常識(国際人権法)でもって日本の非常識(避難者追出し)を裁く「避難者追出し訴訟」第3回口頭弁論の報告

【第78話】311以後のあべこべの世界を正す取り組み:避難者から福島県に対し、避難者に対する福島県の一連の追い出し行為は不法行為を構成し損害賠償の責任があるとする反訴状を提出

 【第79話】避難者の生存を賭けた国際人権法の主張に対し、説明責任を負う行政庁として福島県は1頁分の反論しか提出せず

 【第80話】かりに国際人権法の主張が認められない場合でも、福島県の建物明渡請求は信義誠実の原則に反し、権利の濫用であると主張した書面を提出

 【第81話】国内避難民の人権として「生活再建権」があることを追出し裁判という公の場で初めて主張

 【第87話】緊急裁判速報:追出し裁判の福島地裁、次回期日(7月26日)で審理打切りを通告。避難先住宅ばかりか裁判所からも追出される避難者。これは居住権と裁判を受ける権利の二重の人権侵害である

 【第88話】追出し裁判で、福島県はいかなる法令に基づき、いかなる調査に基づき、いかなる論議を尽くして避難者の追出しを決定したのかを明らかにした主張書面を提出(その1)

【第89話】追出し裁判で、福島県はいかなる法令に基づき、いかなる調査に基づき、いかなる論議を尽くして避難者の追出しを決定したのかを明らかにした主張書面を提出(その2)

 【第91話】追出し裁判で、まともな審理を何一つしないまま審理終結を強行し、10月27日判決言渡しを通告してきた福島地裁に対し、弁論再開申立書を提出

 【第92話】追出し裁判で、まともな審理を何一つしないまま審理終結を強行し、10月27日判決言渡しを通告してきた福島地裁に弁論再開を申立て、再考を求めたが本日まで何の対応もなかったので、やむなく担当裁判官に対する忌避の申立に及んだ

【第96話】避難者追出し裁判で、まともな審理を何一つしないまま審理終結を強行し、裁判官忌避申立の審理中に訴訟法に違反して1月13日判決言渡しを通告し、法令遵守の警告書をも無視して言渡しを強行した福島地裁の「判決もどき」判決

【第97話】避難者追出し裁判 2023年1月13日福島地裁判決の誤りを解説したスピーチ(1.19脱被ばく実現ネットの官邸前アクション)

 
2、追出し裁判の本質
 それは、第84話(2022.3.11)の冒頭に書いた通りです。今、以下に再掲します。

この国は戦後の新憲法制定により、人権の保障された国に生まれ変わりました。
ところで、人権とは個人の尊厳に由来し、人が人として生まれながらにして持つ権利であり、誕生から死に至るまで、どんなことがあろうとも、どこにいようとも、一瞬たりとも途切れることなく、切れ目なく保障されるものです。

つまり、
原発事故が起きようが起きまいと人権は切れ目なく保障されるものであり、原発事故が発生したからといって、被災者は一瞬たりとも人権を喪失することもなければ、他方、国家も人権保障を実行する義務を一瞬たりとも免れることもありません。国家は途切れることなく、保障する義務を負い続ける、これが憲法の帰結です。

ところが、
2011年の福島原発事故が発生して以来、日本政府は、この当たり前の原点を忘れたかのように、被災者に対し政府の指示通りに行動せよ、さもなければ応急仮設住宅の無償提供といった恩恵も施しもないぞと言わんばかりに、(勧告・推奨という体裁を取り繕っているものの、その実質は)上からの指示命令で被災者を取り扱ってきました。そこには、「人権とは誕生から死に至るまでどんなことがあろうとも、どこにいようとも一瞬たりとも途切れることなく、切れ目なく保障されるもの」という原理は忘れ去られたかのようでした。それは、子ども被災者支援法の運用に端的に示されているように、被災者に恩恵を施すのも終了するのもすべて政府の腹ひとつ、政府の考え次第でどうにでもなることでした。

その結果、
被災者は、政府の都合で、一方的に、政府が被災者に差し出した恩恵や施しの終了を宣言され、避難者の居住についても、やっと辿り着いた避難場所から追い立てられるという目に遭ったのです。その端的なケースが、東京の国家公務員宿舎に避難先として辿り着いた避難者に対し、そこから出て行けと追出しの裁判をかけられた「避難者追出し裁判」です。

しかし、
これは避難者を人権の主体と認めず、政府の都合次第でいかようにも扱われる、人権侵害行為ではないか。それならば、追出しの裁判をかけられる前に、避難者自らが行政を被告にして、避難者を行政の都合で避難先から追出すことを決めた決定は人権(居住権)侵害であり違法です。

3、原判決の誤りを全面的に指摘した控訴審の最初の主張=控訴理由書の提出

1月20日、控訴状を提出した控訴人らは、3月13日、控訴理由書を作成、提出しました(全文のPDFはー>こちら)。

そのエッセンスは、冒頭に掲げた控訴人自身の福島原発事故直後に避難した体験を語った陳述書の記載に示されているので、これを再掲します。
その下が、控訴状の表紙と目次です。

2011年3月11日に東日本大震災が発生し、南相馬市長より避難の要請が出された為、私は次女を連れて友人家族の車に便乗させてもらい関東方面に向かいました。しかし当時ガソリンが手に入らず、東京までは行けず、途中栃木県のそば屋で一泊させてもらい、翌日宇都宮駅から次女と各駅停車の電車に乗り、東京に向かいました。東京では頼れる人も居ないので、‥‥(中略)‥‥、その後 福島県の情報が全く入らず、どうして良いのか分からず途方に暮れて不安な時間を過ごしている中、次女の同級生が足立区の武道館に避難していることが分かり、そこへ会いに行き、初めて避難所があることを知りました。その避難所は避難者向け都営住宅の募集もしていて、老人ではないし当てはまらなかったけれど直ぐに申し込みをしましたが、落選通知が東京都から来て、その後東京都から「赤坂プリンスホテルに入れる」と連絡を受け、4月中旬頃、東京の専門学校に通っていた長女と合流して赤坂プリンスホテルに移動しました。6月末までそこで過ごして、その後、千代田区の全国町村会館へ移動、7月末に現在の住まいである東雲住宅へ入居しました。
この事実だけでも本裁判の主題が明確に示されている。それが、一方は本件建物の持ち主であり、福島原発事故の加害責任を負うべき立場にある訴外国が避難者に提供した本件建物の所有権と、他方は、福島原発事故により避難を余儀なくされた被害者である控訴人が国より避難先住居として提供を受けた本件建物について有する居住権(同時にそれは生存権でもある)とが対立・衝突した場合、いかにして両者の調整を図るかというテーマである。すなわち本裁判の主題とは、原発事故発生時における加害者の所有権と被害者・避難民の居住権(生存権)との対立・衝突をいかに調整するかという、「平時」とは状況が全く異なる原発事故時における人権保障のあり方が根本から問われた、前例のない人権問題である。




 

 

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