10月8日(金)午後3時、福島地裁で、避難者追出し訴訟の第3回口頭弁論を行いました(避難者追出し訴訟の概要は->こちら)。
次回第4回口頭弁論は12月3日(金)午後3時(当初の11月29日は裁判所の都合により変更)。
◆裁判開始前の駅前宣伝活動・集会
裁判開始に先立ち、福島駅東口で本日の裁判のチラシを配布し、2時から裁判所前で集会を行いました。以下、本日の裁判のチラシと駅前配布・裁判所前集会の写真と動画です。
福島駅東口でのチラシ配布裁判前の裁判所前での集会
◆法廷
1、原告福島県
原告福島県より、国際人権法について被告が主張した準備書面(2)に対する認否反論をした準備書面(1)を提出(その全文のPDF->こちら)。
しかし、その中身は、被告が44頁を費やして全面展開した国際人権法の主張に対し、この日の福島県の反論はわずか1頁。その軽さだけでも、被告の生存を賭けた国際人権法の主張を、福島県がどのように受け止めているか、一目瞭然。
そこで、被告より、福島県の準備書面(1)では被告の全面的な国際人権法の主張に対して、何が具体的な争点なのかさっぱり明らかにならない、具体的な争点が明らかになるように認否反論をやり直すべきであると主張。もともと福島県は行政庁として、己の行政作用(本件では明渡請求)を法の根拠に基づいて実施するものであり(行政の法律適合性)、あらかじめ己の行政作用が法の根拠に基づくものか吟味検討をした上で実施しているはずであるから、もしその行政作用によって不利益を被る市民から「法の根拠」について疑義が出された場合(本件なら、国際人権法に基づけば、明渡請求には理由がないと異議を申立てた)には、その「法の根拠」について、異議申立てをした市民に説明する責任がある。それが、今回、本来福島県が行うべき認否反論。このような説明責任の観点から、福島県の認否反論のやり直しを求めた準備書面(5)を提出(その詳細は->こちら)。
2、被告避難者
(1)、2021年9月29日付の反訴状提出(その詳細は->こちら)。
被告避難者は福島県が住宅無償提供を打ち切った2017年4月以降も、避難した建物に国際人権法に基づき居住する権利が認められているにも関わらず、原告福島県は、
第1に、被告をあたかも不法占拠者であるかのように考え、追出しに関するさまざまな嫌がらせによる不法行為に出た、
第2に、福島原発事故により被告が余儀なくされた窮状に即して居住の確保について実質的平等の扱いをせず、法の下の平等に反する違憲行為に出て、被告を救済しようとしなかった。
その結果、被告は筆舌に尽くし難い苦しみを味わった。この重大な精神的な苦痛を与えたことに対し、福島県は被告に謝罪し、賠償する責任があると主張したもの。
(2)、10月7日付の準備書面(4)(その詳細は->こちら)
原告福島県の明渡請求には理由がない、これについて被告避難者の予備的な主張して「権利濫用に該当する」の概要を述べた準備書面(4)を提出。
この書面の中で、被告避難者は、権利濫用を基礎付ける事由の1つとして、
「本来実行すべき事項の実行を怠ったこと」を挙げ、その具体的事実として、
①.被告避難者が住む建物の利用関係を終了させることは、避難者が路頭に迷いかねない、生存の危機に直結する重大問題であった。そのような重大な事態に相応しく福島県には行政庁として最大限の誠実な対応が求められ、その代表的なものが「長期入居が可能な適切な代替住宅の誠実な提供」であった。しかし、福島県は、このような代替住宅の誠実な提供を何一つしてこなかった。
そればかりか、権利濫用を基礎づけるより抜本的な事由として、
②.「避難者が有する生活再建権という権利を国も福島県も全く保障しなかった」という問題があった。すなわち、
被告避難者が住む建物の利用関係の終了により避難者が路頭に迷いかねない生存の危機に追い込まれる最大の理由は、避難者がそれまでに、経済的に自立できるだけの安定した仕事に従事できる環境が全くなかったからである。それは避難者個人の努力では如何ともし難い社会問題であり、本来であれば、原発事故という国難を引き起こした国と福島県が国難の被害者である避難者の経済的自立に向けて積極的な就労支援を行う責任があった。すなわち国難の被害者である避難者に避難先で、自ら生活を再建する権利(生活再建権ともいうべき新たな人権)が原発事故下における社会権の1つとして、国・福島県により保障されるべきであった。しかし、国も福島県も、避難者が避難先で経済的自立することに向けて積極的な就労支援を何一つ実行しなかった。自主避難者の自己責任という名のもとで、避難者の生活再建に対する自らの責任を完全に放棄・放置した。その結果、国・福島県から何ら積極的な就労支援を与えられなかった避難者はアルバイトや非正規労働者として日々の生活をしのぐのが精一杯であり、それ以上、経済的に自立できるだけの安定した仕事に就くことは到底不可能であった。
(3)、10月7日付の準備書面(5)(その詳細は->こちら)
上記1に述べた通り、国際人権法について被告が主張した準備書面(2)に対する認否反論をした福島県の準備書面(1)の中身は、被告が44頁を費やして全面展開した国際人権法の主張に対し、わずか1頁。まるで被告の主張は存在しないかのような無関心を如実に示した書面。
しかし、 法治国家において、福島県は行政庁として、己の行政作用(本件では明渡請求)を法の根拠に基づいて実施しており(行政の法律適合性)、あらかじめ己の行政作用が法の根拠に基づくものか吟味検討をした上で実施しているものであるから、もし「法の根拠」について不利益を被る市民から疑義が出された場合(本件なら、国際人権法に基づけば、明渡請求には理由がないと異議を申立てた)には、その「法の根拠」について、異議申立てをした市民に説明する責任がある。それが、今回、本来福島県が行うべき認否反論。
このような説明責任の観点から、福島県は認否反論をやり直すべきであると、やり直しを求めたのが準備書面(5)。
3、裁判所の対応
被告が、原告福島県の認否反論のやり直しを求めたのに対し、裁判所は「原告がそう言ってるんだから、それに従ってやればいいんじゃないですか」と自由放任論をぶち、一般論として異論がない「適正迅速な審理の実現に向け、論点整理に必要な積極的な争点形成に取り組む」ことは本件の国際人権法の論点ではやらないと宣言。しかし、そんな大雑把ないい加減なやり方で、どうやって国際人権法の論点が解明され得るのか、被告は納得できない旨を表明。
ただし、さすがの裁判所も、被告が、原告の明渡請求が理由がないことの根拠としている、
「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律」(平成8年6月14 日法律第85号。以下、本特別措置法という)8条の解釈に対して、原告福島県は具体的にどう反論するのか今回の原告準備書面(1)では何一つ明らかでない。これを次回までに明らかにするようにと釈明を求めた。
なおかつ原告福島県に反訴状の認否反論の準備も指示。
4、次回
(1)、原告福島県
①.被告が主張する本特別措置法8条の解釈に対する原告の見解(認否反論)
②.反訴状に対する認否反論
(2)、被告
①.訴訟要件論(代位行使)について原告準備書面(1)に対する反論
◆裁判終了後の記者会見・報告会
裁判終了後、裁判所近辺の福島市民会館で記者会見と裁判報告会。以下、その会見と報告会の写真と動画(準備中)。
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