避難者追出し訴訟(一審福島地裁)の報告です。
原告福島県の明渡請求に対し、被告避難者は、その請求には次の理由で根拠がないと反論(被告準備書面(4)。その全文のPDF->こちら)。
第1が、国際人権法が認める居住権。
第2に、仮にこの主張が認められない場合に、予備的な主張として「福島県の建物明渡請求は信義誠実の原則に反し、権利の濫用である」
この第2の予備的な主張を基礎づける事由(事実関係)の1つとして、公の場で、恐らく初めて、国内避難民に認められるべき人権として「生活再建権」があることを主張。
それが次の主張。
②.「避難者が有する生活再建権という権利を国も福島県も全く保障しなかった」という問題。
福島原発事故から6年経過した、2017年3月、被告避難者が住む建物の利用関係の終了により避難者は路頭に迷いかねないという、生存の危機に追い込まれるおそれがあった。その最大の理由は何か。それは避難者がそれまでに、経済的に自立できるだけの安定した仕事に従事できる環境が全くなかったからである。それは避難者個人の努力では如何ともし難い社会問題である。本来であれば、原発事故という国難を引き起こした国と福島県が国難の被害者である避難者の経済的自立に向けて積極的な就労支援を行う責任があった。すなわち国難の被害者である避難者に避難先で、自ら生活を再建する権利(生活再建権ともいうべき新しい人権)が原発事故下における社会権の1つとして、国・福島県により保障されるべきであった。
しかし、国も福島県も、避難者が避難先で経済的自立することに向けて積極的な就労支援を何一つ実行しなかった。自主避難者の「自己責任」という名のもとに、避難も「自己責任」で実行したのだから、「生活再建」もどうぞ「自己責任」で頑張って下さいと、「自己責任」を振りかざし、その結果、避難者の生活再建に対する国・福島県自身の責任を完全に放棄・放置した。その結果、国・福島県から何ら積極的な就労支援を与えられなかった避難者はアルバイトや非正規労働者として日々の生活をしのぐのが精一杯であり、それ以上、経済的に自立できるだけの安定した仕事に就くことは到底不可能であった。
その必然的な帰結が、2017年3月、被告避難者が住む建物の利用関係の終了により避難者が路頭に迷いかねない生存の危機に追い込まれるおそれである。それは国・福島県によって企み、作られた危機である。
それは「人権侵害」であり、「犯罪」と呼びかえられるべき振舞いではないだろうか。
以下は、これを主張した被告準備書面(4)の該当部分(②.要実行事項の不実行(その2))(また、この権利濫用論の主張の詳細は->こちら)
0 件のコメント:
コメントを投稿