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2022年7月20日水曜日

【第87話】緊急裁判速報:追出し裁判の福島地裁、次回期日(7月26日)で審理打切りを通告。避難先住宅ばかりか裁判所からも追出される避難者。これは居住権と裁判を受ける権利の二重の人権侵害である(2022.7.20)。

                (2021年5月14日 第1回期日 福島地裁前)

上の写真の通り、福島県が避難者に避難先建物の明渡しを求める裁判(避難者追出し裁判)が 昨年5月14日に福島地裁で第1回期日が開かれた(以下、その報告)。

 5.14世界の常識(国際人権法)でもって日本の非常識(避難者追出し)を裁く「避難者追出し訴訟」第1回口頭弁論の報告(2021.5.18) 

このときの被告(避難者)の主張は次の2点だった。
1、国難の責任者である国ではなく、福島県に原告の資格はない
国難である福島原発事故の救済に関する自主避難者の居住権の問題について、国の持ち物である国家公務員宿舎の明渡を、なぜ国難の責任者の国ではなく、なぜ国家公務員宿舎の持ち主の国ではなく、福島県が原告となって自主避難者を提訴できるのか、という原告適格の問題。

2、国際人権法に適合した法律の解釈をとれば、福島県の明渡し請求は認められない。
国内法の序列体系からすれば、国際法(条約)は法律の上位規範であり、本件に即して言えば、法律である災害救助法及びその関連法令の内容は国際法である国際人権法に矛盾抵触することはできず、これらの法律の内容は国際人権法に適合するように解釈されなければならない。
「国際人権法に適合した法律の解釈」――この基本原理を本件に当てはめれば、災害救助法及びその関連法令は「国内避難民となった原発事故被災者の居住権」を保障する社会権規約及びその内容を具体化、普遍化した一群の国際人権法に矛盾抵触することはできず、これらに適合するように解釈しなければならない。そこで、この国際人権法に忠実に災害救助法等を解釈すれば、原告の追出しの請求は認められないという結論が導かれる、という国際人権法の問題。

しかし、実はこの裁判では最大の謎が残っていた。それは、
福島県は一体いかなる法令に基づいて、そしていかなる調査に基づいて、いかなる論議を尽くして、
被告(避難者)の追出しを決定したのか、その決定のプロセスを決して明らかにしようとせず、闇の中に置かれてきたことである。

けれど、昨年の審理の中で、
被告(避難者)がこの点を追求する中で、少しずつ、福島県及び国の被告(避難者)の追出しの決定のプロセスが解明されてきた。

そこで、不完全とはいえこの間の解明を前提に、このたび、 被告(避難者)は初めて、本裁判で解明すべき中心争点を6つにまとめ、今後その真相解明を果すことを求める、この間の主張の集大成とも言うべき書面を作成、提出した。

被告準備書面(14)--仮設住宅の支援打切りの適用法令及び決定の主体について--

->その詳細は、【第88話】参照。

被告準備書面(15)--6つの抗弁の法律構成の骨子について--
->その6つの抗弁の詳細は、【第8】参照。

ここでようやく、本裁判は審理の夜明けに、本格的解明のとば口に立った。

ところが、その矢先に、裁判所は、昨日19日、次回で審理打切りを通告してきた。
これは臭いものに蓋をするという、被告
(避難者)の裁判を受ける権利の露骨な剥奪であり、被告(避難者)は国、福島県から迫害されるばかりか、人権の最後の砦とされる裁判所からも迫害されるという二重の人権侵害を受けている。

いま、世界は福島原発事故で避難を余儀なくされた避難者の人権侵害状況を憂慮し、国連人権理事会はその人権侵害状況の調査のため、セシリア・ヒメネス・ダマリー氏を特別報告者に任命し、その来日が確定している(9月26日~10月7日)。昨日の緊急裁判情報は、まるでダマリー特別報告者に、福島原発事故の国内避難民に対する迫害が日本政府のみならず、裁判所によっても実行されているという重大な事実を伝えるために行われたようなものである。

私たちは、もともと人権とは、原発事故が起きようが起きまいがそれに関係なく、誕生から死に至るまで一瞬たりとも途切れることなく、切れ目なく保障される生来の権利であり、
つまり、
原発事故が発生したからといって、被災者は一瞬たりとも人権を喪失することもなけれ、国家は人権保障を実行する義務を一瞬たりとも免れることもない。国家は途切れることなく、保障する義務を負い続ける。ここから避難者の救済を再定義し、本裁判でも主張してきた。

そうした基本的人権のエッセンスを踏まえた審理を実行するどころか、その実行にフタをすることだけに汲々とする福島地裁のやり方は、昨今の日本の常識だとしても、まぎれもなく世界の非常識である。
私たちは、避難者を追出そうと提訴した原告の福島県に対し、世界の常識(国際人権法)でもって日本の非常識(避難者追出し)を裁くという追求をしてきたのと同様、
追出し裁判の真相解明にフタをしようとする福島地裁に対しても、
世界の常識(国際人権法)でもって日本の非常識(真相解明にフタをして裁判を受ける権利を剥奪)を裁くという追求をする決意である。

次回の第8回裁判
日時:7月26日(火)午後1時30分(傍聴抽選券の配布は12時50分の予定)
場所:福島地方裁判所

当日の裁判前・後の集会の案内
 12時30分~12時45分 福島地裁前行動
 12時50分 傍聴抽選券配布
 13時30分~14時30分 第8回弁論 
 15時~16時 報告集会(参加費:無料)
 (福島市市民会館301号室(福島市霞町1番52号 福島地裁すぐ))


 


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