8月6日(金)午後3時、福島地裁で、避難者追出し訴訟の第2回口頭弁論を行いました(避難者追出し訴訟の概要は->こちら)。
次回第3回口頭弁論は10月8日(金)午後3時。
◆裁判開始前の駅前宣伝活動・集会
裁判開始に先立ち、午後0時半から福島駅東口で本日の裁判のチラシを配布し、2時から裁判所前で集会を行いました。以下、本日の裁判のチラシと駅前配布・裁判所前集会の写真と動画です。
裁判前の裁判所前での集会
◆法廷
法廷では、事前に提出した被告の準備書面(2)と(3)の要旨を陳述、次の2点を訴えました。
1、国難の責任者である国ではなく、福島県に原告の資格はない
国難である福島原発事故の救済に関する自主避難者の居住権の問題について、国の持ち物である国家公務員宿舎の明渡を、なぜ、持ち主であり、なおかつ国難の責任者の国が自ら原告にならずに、なぜ国家公務員宿舎の持ち主でもない福島県が原告となって自主避難者を提訴できるのか。
仮に、福島県が2017年4月1日から国から使用許可を得て、この宿舎の使用収益権を有しているから、この使用収益権に基づいて、国に代わって、明渡の代位請求の訴えが起こせるのだと主張したとしても、
この主張は本来の代位権の転用のケースであり、そうした転用が認められるためには、福島県が、現在居住している自主避難者を追い出して、自ら使用収益する予定であることが大前提である。ところが、福島県は今居住している避難者を追い出すことしか目的はない。避難者を追い出した後に、新たな避難者等をそこに住まわせる予定も目的もない。つまり、使用収益をする予定も目的もない。この点において、例外的に認められる「代位権の転用」の要件から明らかに逸脱している。つまり、本件は代位権の転用は認められない。
これを主張した被告準備書面(3)の全文のPDFは->こちら
2、国際人権法に適合した法律の解釈をとれば、福島県の明渡し請求は認められない
第1に、国内法の序列体系からすれば、国際法(条約)は法律の上位規範であり、本件に即して言えば、法律である災害救助法及びその関連法令の内容は国際法である国際人権法に矛盾抵触することはできず、これらの法律の内容は国際人権法に適合するように解釈されなければならない。
第2に、国際法(条約)の文言の解釈においては、 条約法に関するウィーン条約により、条約の文言の意味を明らかにするために、その解釈基準として以下の国際法の実質的法源を用いることを認めた(31~32条)。
(a)、国連の委員会、国際会議の決議・宣言・報告書・準備作業
他方、社会権規約11条1項は「適切な住居」を内容とする居住権(権利)を認めた。そこで問題は、この「適切な住居」の意味(解釈)である。
上記の条約解釈の基本原則によれば、この言葉の解釈にあたり、次の国際法の実質的法源を基準として用いることができる。
①一般的意見
②「国内避難民の指導原則」
③日本政府報告書に対する「総括所見」
以上の通り、「国際人権法に適合した法律の解釈」と「実質的法源を解釈基準として条約の文言を解釈する」――この2つの基本原理を本件に当てはめれば、
災害救助法及びその関連法令は「国内避難民となった原発事故被災者の居住権」を保障する社会権規約及びその内容を具体化、普遍化した一群の国際人権法に矛盾抵触することはできず、これらに適合するように解釈しなければならない。
そこで、この国際人権法に忠実に災害救助法等を解釈すれば、原告の追出しの請求は認められないという結論が導かれる。
以上の国際人権法の主張書面の要旨は以下の通り。全文のPDFは->こちら
【次回期日】
次回は、被告の主張に対する原告福島県の認否・反論。
第3回口頭弁論は10月8日(金)午後3時。
◆裁判終了後の記者会見・報告会
裁判終了後、裁判所近辺の福島市民会館で記者会見と裁判報告会。以下、その会見と報告会の写真と動画と被告から寄せられたメッセージ。
報告集会の動画
◆当事者からのメッセージ
被告(男性)のメッセージ
(PDF->こちら 代読の音声->こちら)
直前に、職場でコロナ患者の発生のため、急遽、出勤せざるを得なくなり、裁判に欠席を余儀なくされた被告(女性)の音声メッセージ
◆国際人権法に関する報告(弁護団柳原敏夫)
0 件のコメント:
コメントを投稿