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2023年11月8日水曜日

【第122話】「国際人権法を知らないものは、この国の法律のことがわからない」(2023.11.8)

これは、半世紀かかってようやく法律家になれたのではないかと実感した、新老年による法律家体験について、以下の3つの感想の2番目。
①.【第121話「日本版は既に制定されている。あとは、私たちがそれを確認するだけ」にお墨付きを与えた10.25最高裁大法廷決定
②.【第122話「国際人権法を知らないものは、この国の法律のことがわからない」
③.【第123話「裁判官忌避のすすめ」←憲法15条「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」の実行

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一昨日の11月6日、避難者追出し裁判の仙台高裁の裁判官の忌避申立(その詳細はー>第116話)の特別抗告事件で、最高裁宛に、特別抗告の理由書を提出した。
ー>特別抗告の理由書


本年9月末に、この仙台高裁の裁判官の忌避を仙台高裁に申立したが、これに対し、10月中旬、子ども脱被ばく裁判の係属する仙台高裁の部(石栗裁判長)で、理由を一言も示さずに「我々はお前の主張する法解釈は採らない」と結論だけの三行半の却下決定が出た(その全文はー>こちら)。

この却下決定の傲慢不遜な書きっぷりに対し、感情的な反論ならいくらでも書けたが、しかし純論理的になると、どう反論していったらよいか(法解釈の相対性、法的価値判断の相対性という法哲学の根本問題のゆえ)、見通しが持てず、正直なところ、だるまさん(手も足も出ない)状態に追い込まれた。

それが一変したのは、先月10月25日に出た最高裁の「性別変更の手術要件は違憲」とする大法廷の決定だった( ー>その全文)。これを読んだ瞬間思った、とうとう最高裁は地雷を踏んだ、そしてルビコンの河をわたった、これは黒船到来に匹敵する歴史的大事件だ、と。


この最高裁決定を導きの糸にして、いまだかつてないほど最高裁に媚びへつらう書面を作成した。それが2日前の特別抗告の理由書
その際、これまで突き詰めることをせず、ずっと曖昧にしてきた、法解釈の相対性、法的価値判断の相対性という法哲学の根本問題についても、自分なりの決着をつけた結論を示し、これでどうだと迫った。 これを書き上げた時、自分が初めて法律家になれたような気がした(登録してから半世紀かかったが)。

以下は、以上について弁護団MLに書いた報告。
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今回の書面の作成作業をする中で、2つのことを学びました。
1つは、「国際人権法を知らないものは、この国の法律のことがわからない」

もう1つは‥‥

先月末に、「性別変更の手術要件」に関する特別抗告事件で、人気不絶頂の最高裁はみずから数年前の合憲判断を覆して、大法廷で現行の法律を違憲と判断しましたが、その決定の判断枠組みが、今まで宣言したことがなかった、国際人権法という上位規範に適合するように法律を再解釈することでした。この方法こそ、私たちが、避難者追出し裁判で初めからずっと主張し続けてきた上位規範(国際人権法)に適合する解釈によって、災害救助法その他を再構成しろ、という方法そのものです。
だから、最高裁もとうとう、この世界の普遍的な方法を採用せざるを得ないことを大法廷で全員一致で認めた。つまり、追出し裁判の我々の主張の正しさを認めてしまった。

最高裁はルビコンの河を渡った。もし、今回の性別変更に関する法律に限らず、およそ日本のあらゆる法律を国際人権法という上位規範に適合するように再構成したら、そのとき、日本の法体系はそれまでの様相を一変し、全てを塗り替えることになるだろう、つまり世界に通用する普遍法という性格に一変せざるを得なくなる。この意味で、最高裁は地雷を踏んだ、そうとは知らずに。

つまり、国際人権法は日本の法体系を一変させる、そのさきがけを先月末の大法廷で宣言した。これは幕末の黒船の到来に匹敵する。

それは令和の「見えない黒船(=国際人権法)」の到来です。

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