「子ども脱被ばく裁判」が提訴審理された福島地方裁判所
裁判所のHPより
3:被告と裁判所の不退転の決意
それは、原告被告双方の代理人全員が初めて勢ぞろいした2015年2月の進行協議の場だった。この協議に参加した弁護団長の井戸さんは終了後に思わずこう呟いた。
「ふんどしを締めてかからなければ」
この日、会場の大会議室は、あと1名の追加すらなほど被告国らの代理人が50~60人、ぎゅうぎゅう詰めで参加(そのときの席の配置図は→こちらを参照)。
集団疎開裁判では、被告郡山市は「不知」を連発するだけの無気力・無関心・無責任の三無主義だったのに、この時、被告国らは「この裁判は絶対負けれない」という不退転の決意を、まず代理人の数という物量戦で示してみせた。しかも、想定外の事態は量だけの問題では済まず、さらに質の問題でも示された。
つまり被告らの不退転の決意は直ちに審理の内容で示された。
それが2016年2月の第3回の期日で、裁判所が、被告らの不退転の決意を受け入れ、原告の意見を聞くこともせずにいきなり、福島市ほか全部で7つの基礎自治体を被告とする子ども裁判[1]を「訴えの中身の特定が不十分だ」という理由で一方的に審理打ち切り、門前払いの判決をしようとしたからだった。
裁判所によるこの想定外の強引な不意打ちに弁護団は必死に抵抗、首の皮一枚で、この日の子ども裁判の審理終結を阻止。
「勝利まであと一歩の疎開裁判の判決」からスタートするはずだったのが、あにはからんや「審理のためのリングにあがることすらできないまま、門前払いで蹴散らされる」結果に転落し玉砕する寸前となった。
この時、弁明のワンチャンスをもらった原告弁護団は、真っ青になって、ありとあらゆる判例、文献を調べ上げ、なぜ子ども裁判の訴えの中身が法律的に「特定」として十分であるかをまとめ、さらに「特定」に必要な地図を精緻化、再提出した。また門前払い反対の原告・支援者の声を裁判所に届けた。
これらの抵抗を前に裁判所は、2016年8月、ついに門前払いの断念を正式に表明。
早々と第1回目の期日で裁判所が「門前払いはしない、実体審理に入る」と宣言した集団疎開裁判に比べ、今度の裁判は審理のためのリングにあがるまでに提訴から実に2年を要した。
しかし、想定外の事態は門前払いの問題だけではなかった。リングにあがって審理する段階でも発生したのである。
[1]現在、福島県内の小中学校に通う子どもが原告になり、小中学校の設置者である基礎自治体(市町村)に対し、憲法で、子どもたちに被ばくの心配のない安全な環境で教育を受ける権利が保障されていることの確認を求める裁判。
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