昨日(8月22日)夕方のNHK首都圏ニュースで、韓国政府が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を終了することを決定したと報じられたが、このニュースを日本の新聞、テレビ各社はこぞって、
「GSOMIA破棄」
と報道した。
それを聞き、破棄??何だろう、これはと思った。
そこで、広辞苑で調べると、
①やぶりすてること、やぶりこわすこと、‥‥
②取り決めなどを一方的に取り消すこと。‥‥
とあり、ずいぶん激しいアクションだということが伝わってくる。
次に、「破棄」が法律用語としてどんな意味か、法律の辞典(日本評論社「新法学辞典」)で調べると、
事後審査の裁判所が原判決の誤謬を認めて取り消すこと。
とある。つまり、上級審の裁判所が下級審の裁判所の判決が誤っているとして取り消すことだ。日本のマスコミがこの意味で「GSOMIA破棄」を使っているのでないことは明らか。そして、それ以外に、国際法上も含めて破棄という法律用語はない。
ということは、 日本のマスコミは「GSOMIA破棄」の破棄を法律用語として使っているわけではなく、日常用語として、
①やぶりすてること、やぶりこわすこと、‥‥
②取り決めなどを一方的に取り消す
という意味で使っているようだ。
しかし、韓国政府は果たして、本当に、日韓の協定をやぶりこわし、一方的に取り消したのだろうか。
それを確かめるために、このニュースを報道する韓国のメディアを見てみる。
朝鮮日報は、「青瓦台、GSOMIAを延長せず」という見出しで、次のように報じている。
青瓦台は22日午後3時から国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を延長しない方針を固めた。‥‥
つまり、今回の条約はもともと1年の期間で終了するもので、当事者の日韓は終了直前の一定期間内に継続するかどうかを決めることができるという更新の手続が定められていて、今回、韓国政府は更新しないことに決めたというもの。これは、私たちも賃貸借契約でお馴染みの契約の更新と同じ手続のことで、この場合、更新しないで賃貸借契約を終了しても、これを「契約を破棄した」とは決して言わない(聞いたことがない)。
だから、韓国政府はたんに、条約の規定に従って条約を終了させたというもの。条約を一方が勝手にやぶりこわしたという乱暴な行為はどこにもない。日本政府もこの終了手続がおかしいとは一言もコメントしていない。その意味で、朝鮮日報は条約の終了手続を正確に表現している。しかし、日本の新聞、テレビ各社はこぞって、あたかも韓国政府が条約を一方的にやぶりこわした狼藉者というニュアンスをにじませる「破棄」という言葉を使っている。
日本のマスコミは「これは表現の自由だ」と反論するかもしれない。もちろん日本のマスコミにも表現の自由は保障されている。しかし、事実を歪曲、扇動する自由まで保障されているわけではない。これまで、日本と韓国の市民たちが営々と積み重ねてきた日韓の交流にくさびを打ち込むような、扇動的な表現は厳に謹んでもらいたい。
これが日本のマスコミの表現の自由に対する市民からの批判(表現の自由)の行使である。
Translate
登録:
コメントの投稿 (Atom)
【第166話】10.30チェルノブイリ法日本版のさいたまミニ学習会の報告(24.11.18)
9月29日のチェルノブイリ法日本版のさいたま学習会で、時間切れのため、日本版の条例案についての話が出来なかった。そこで、それについての補講を、10月30日、少数のメンバーを相手に行なった(ミニ学習会)。 以下がその動画とプレゼン資料。 1、前半(前座) 2、後半(条例...
-
◎ 自治体レベルの子どもたちの甲状腺検査プロジェクトに賛同する市民とその声は -> こちら で紹介。自分も賛同したいという方は こちら の投稿の「コメント」欄か、tonke*song-deborah.com(*を@に変更)まで賛同メッセージをお寄せ下さい。 ...
-
福島県が福島原発事故で福島から東京の国家公務員宿舎(応急仮設住宅)に避難した自主避難者を被告として、提供した 応急仮設住宅 から退去することを求めて提訴した「避難者追出し裁判」( ※ 1 )、その強制執行のストップ(停止)に関して、賛同のお願いです。 今月3月8日、東京地方裁判所...
-
3月11日、 福島県に「自主避難者の応急仮設住宅からの退去の強制執行」の撤回を求める緊急オンライン署名がスタート。署名は ー> こちらから 強制執行を受けた自主避難者本人の陳述書 ー> こちら 東京地裁の執行官が避難者に渡した催告書(24.3.8) 以下は、昨日、避難...
0 件のコメント:
コメントを投稿