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2019年8月23日金曜日

【第19話】GSOMIAの終了をめぐって、日本のマスコミが日韓関係の悪化に貢献している(2019.8.23)

昨日(8月22日)夕方のNHK首都圏ニュースで、韓国政府が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を終了することを決定したと報じられたが、このニュースを日本の新聞、テレビ各社はこぞって、
GSOMIA破棄
と報道した。
それを聞き、破棄??何だろう、これはと思った。
そこで、広辞苑で調べると、
①やぶりすてること、やぶりこわすこと、‥‥
②取り決めなどを一方的に取り消すこと。‥‥
とあり、ずいぶん激しいアクションだということが伝わってくる。

次に、「破棄」が法律用語としてどんな意味か、法律の辞典(日本評論社「新法学辞典」)で調べると、
事後審査の裁判所が原判決の誤謬を認めて取り消すこと。
とある。つまり、上級審の裁判所が下級審の裁判所の判決が誤っているとして取り消すことだ。日本のマスコミがこの意味で「GSOMIA破棄」を使っているのでないことは明らか。そして、それ以外に、国際法上も含めて破棄という法律用語はない。

ということは、 日本のマスコミは「GSOMIA破棄」の破棄を法律用語として使っているわけではなく、日常用語として、
①やぶりすてること、やぶりこわすこと、‥‥
②取り決めなどを一方的に取り消す
 という意味で使っているようだ。

しかし、韓国政府は果たして、本当に、日韓の協定をやぶりこわし一方的に取り消したのだろうか。
 
それを確かめるために、このニュースを報道する韓国のメディアを見てみる。
朝鮮日報は、「青瓦台、GSOMIAを延長せず」という見出しで、次のように報じている。  
青瓦台は22日午後3時から国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を延長しない方針を固めた。‥‥

つまり、今回の条約はもともと1年の期間で終了するもので、当事者の日韓は終了直前の一定期間内に継続するかどうかを決めることができるという更新の手続が定められていて、今回、韓国政府は更新しないことに決めたというもの。これは、私たちも賃貸借契約でお馴染みの契約の更新と同じ手続のことで、この場合、更新しないで賃貸借契約を終了しても、これを「契約を破棄した」とは決して言わない(聞いたことがない)。
だから、韓国政府はたんに、条約の規定に従って条約を終了させたというもの。条約を一方が勝手にやぶりこわしたという乱暴な行為はどこにもない。日本政府もこの終了手続がおかしいとは一言もコメントしていない。その意味で、朝鮮日報は条約の終了手続を正確に表現している。しかし、日本の新聞、テレビ各社はこぞって、あたかも韓国政府が条約を一方的にやぶりこわした狼藉者というニュアンスをにじませる「破棄」という言葉を使っている。

日本のマスコミは「これは表現の自由だ」と反論するかもしれない。もちろん日本のマスコミにも表現の自由は保障されている。しかし、事実を歪曲、扇動する自由まで保障されているわけではない。これまで、日本と韓国の市民たちが営々と積み重ねてきた日韓の交流にくさびを打ち込むような、扇動的な表現は厳に謹んでもらいたい。
これが日本のマスコミの表現の自由に対する市民からの批判(表現の自由)の行使である。


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