本日、気仙沼から東京都目黒区の区営住宅に避難していた自主避難者に対する追出し裁判の最高裁判決の言渡しがありました。
主文は避難者の敗訴、その中で、ひとり、今回も裁判長をつとめた三浦守裁判官の反対意見がまたしても出ました。彼は原発事故という「百年の悲劇」と決別するため、今まで書かれたことのなかった原発事故の救済のあり方を1.9判決に続いて最高裁判決に書き込みました(その報告>こちら)。この書き続ける執念、少数意見こそが世界を変える原動力となるお手本のような判決です。
「世界の常識が日本の非常識を覆す」この真理を、今回の三浦意見は、国際人権法の重要性を正面から高らかに宣言することを通じて私たちに示しました。チェルノブイリ法日本版の精神を文字通り実行したような歴史的な少数意見です。
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社会権規約及び国内避難に関する指導原則の趣旨を踏まえ、災害対策基本法の定める基本理念及び責務にも鑑みると、目黒区長が平成30年3月31日をもって本件建物に係る応急仮設住宅の供与を終了させて、本件建物に係る使用許可を終了したことは、災害救助法等の趣旨に反し、A及び上告人の居住の安定に係る利益を著しく害するものであって、社会通念上著しく妥当性を欠くものというべきである。
⑶ このような事情の下においては、平成30年4月1日以降、上告人による本件建物の占有が、被上告人との関係において、単なる不法占拠とみることはできず、上告人に関し、被災及び避難の状況、避難の継続又は帰還についての意向、家族関係・健康状態・就労状況その他生活の状況、安定した住宅の確保に関する事情等の具体的な事情を総合的に考慮して、被上告人が、上告人に対し、本件建物の明渡しを求めるとともに、不法行為に基づく損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を行使して本件建物の使用料等相当損害金の支払を求めることが、正義・公平の理念に照らし容認できないときは、その行使は、権利の濫用として許されないというべきである。
しかるに、原審は、目黒区長が平成30年3月31日をもって本件建物に係る応急仮設住宅の供与を終了させて、本件建物に係る使用許可を終了したことについての瑕疵を前提とすることなく、同年4月1日から令和3年10月19日までの期間に係る被上告人の上告人に対する請求を認容したものであり、上記前提の下に、上告人に関する具体的な事情を総合的に考慮して、上記期間の全部又は一部に係る請求権の行使が権利の濫用に当たるか否かについて必要な検討をしていない。
そうすると、原審の判断には、災害救助法等に関する法令の解釈適用を誤った結果、必要な審理を尽くさなかった違法があり、これは、判決に影響を及ぼすことが明らかである。論旨は、以上の趣旨をいうものとして理由があり、原判決を破棄して事件を原裁判所に差し戻すのが相当である。
裁 判 長 裁 判 官 三 浦 守
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