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2023年2月22日水曜日

【第99話】2023.2.12子ども脱被ばく裁判・判決前アクション第2弾(第1部映画「かくれキニシタン」上映。第2部原告、避難者、残留者が語る「12年目の福島」)(2023.2.21)

2023年2月12日に、子ども脱被ばく裁判の判決前集会を東京都港区田町のリーブラホールで開催。
311以来12年の逆流の歳月に洗われ、今、福島の人たちの珠玉の声、詩、歌がよみがえる。

前座:事前の楽屋裏の話
企画者(柳原敏夫)から、ゲストの3人に宛てたメッセージ。

私の独断で恐縮です、私が希望する当日のテーマは以下です。
福島原発事故から11年以上経過し、多くの人たちは、漠然と、福島原発事故はもう終わった過去の出来事であるかのように感じている。しかし、原発事故を従来型の災害の延長線上で考える見方が根拠のないただの幻想であって、原発事故の影響(身体と心の健康影響・病気の発症)は今なお現在進行形であるという認識を持ってもらいたい、その認識を新たにしてもらうために、3人の皆さんからお話して頂けたらと希望しています。 「認識は悲観的に、行動は楽観的に」が私のモットーで、まずは、今の世に広まっている、10年余りの時間の経過でもう福島原発事故の影響は終わっただろうというお目出たい楽観主義に頭から冷水を浴びせるよう、新たな認識をもたらしてもらうことを願っています。 それは、例えば、昨年暮れ、橋本俊彦さんが「宮城県丸森町の奇形の干し柿のニュースを、福島の人たちは話題にすらしない(したくない)という態度を取る」と仰ったのを聞き、福島県民の心根のなまの部分に触れた気がして、正直、戦慄が走りました。こういうお話がとても大切で、こういうお話をして
頂けたらというのが率直な希望です。 その点で、これまで、健康影響と言うと、甲状腺がんとか、白血病、糖尿病といった身体の病気が問題にされて来ましたが、この間、原発事故は終わった、健康影響の問題はないと安全神話を押し付けられてきた福島県内に住む県民の心はグチャグチャになってしまってるのではないか、その心の傷の深さが身体の病気以上に深刻な問題ではないかと感じています。 精神科医の蟻塚亮二さんの本「沖縄戦と心の傷」にもそのことが率直に書かれていて、この心の傷についても、皆さんが見聞した事実を差し支えない範囲で(個人情報を秘して)お話して頂けたら幸いです。 以上がメインの話題です。が、これを徹底してやると本当に気が狂うほど滅入ります、だからこそ「認識は悲観的に、行動は楽観的に」で、第二部的な意味で、「行動は楽観的に」のアクションもお願いしたいというのが、私の欲張りメニューです。 つまり、悲観的な認識があってこそ、楽観的な行動をリアルに受け止められるので、最初からただ楽観的なことをやっても、極楽トンボみたいにしかならない、それが私の独断的なスタンスです。

 第1部:映画「隠れキニシタン」上映    
上映前の監督関久雄さんのお話(予告編→こちら)

 

第2部 福島の今を語る
1. 子ども脱被ばく裁判の最新情報とその意義(プレゼン資料のPDF→こちら
 弁護団 柳原敏夫



2. 橋本俊彦さんのお話(子ども脱被ばく裁判・原告/まつもと子ども留学基金理事)

橋本さんは、311後、三春町から東京→長野県松本に避難・移住。311以後今日までずっと、福島に通い、伝統医学・自然医学・近代医学の良いところを組み合わせた健康相談を実施。

上記の事前打合せのメッセージに対し、以下の、印象に残るコメントを寄せてもらった。

先日、震災直後、都内に一家で避難したMさんが、
当時の想いをいまだに素直に言葉にできない
と言っていたことが印象に残っています。 時に身体レベルに記憶された表現されなかった想いは、 さまざまな症状となり出現することがあります。 福島での健康相談では、同じような病態・症状であっても 質量の違いを感じることが少なくなくありません、重いのです。

  

3. 星ひかりさんの詩の朗読と歌(避難者/詩人/ NPO法人ライフケア理事)

星ひかるさんは、 311後、郡山から東京→長野県安曇野に避難・移住。ふくしま集団疎開裁判の2011年10月15日の郡山デモに参加、スピーチをされた(その動画→こちら

あれから12年、その間「とにかく子どもを守る」それだけを考え、行動してきた星さん。しかし、避難の権利が保障されない生活の中で精神的にも追い込まれ、言葉を失い‥‥そこから再び、言葉を出す(詩を書く)ことを通じて何とか自分を少しずつ取り戻していった日々。



4、関久雄さんの歌・詩の朗読(福島二本松在住/詩人/NPO法人ライフケア代表理事)

関さんとは311直後の「こども福島」の準備会の時以来の知り合いだ。なのに、つい最近まで、彼のことを何も知らなかった。昨秋、長野県松本市の「まつもと子ども留学基金」で彼と同宿し、その時、彼が長野県が生んだ異能の法学者戒能通孝の最高傑作「小繋事件三代にわたる入会権紛争」(岩波新書)の舞台となった岩手県小繋山の近くの開拓部落出身だったこと、それゆえ大変な辛酸をなめて成人したこと、横浜で無農薬八百屋をやっている時、チェルノブイリ事故で野菜が汚染され商売が大打撃を受けたこと(なおかつ25年後には「二重被ばく」)、その数々の逆境の人生を知り、初めて関さんと知り合うことができたと思った。以下は、彼の詩(その詩集は->こちら)の中でも彼の心根が私にとりわけ伝わった詩。

      「2年6ヶ月のふとん干し

お日さまを いっぱいにあびた 
ふわふわの 布団

干してくれたんだ ありがとう お父さん
いい においがする 今夜は気持ちよく  眠れそう
でも なんで 外に出したの
放射能は だいじょうぶなの

うーん カビくせえのに 耐え切れんでな
風もなくて お天気良くてなあ
えーい いいや と 外に出したのさ
2年6ヶ月ぶりに 物干し出して
ふいてさ 布団 干したのさ

それから マスクして 掃除して 
カビた たたみも 雑巾がけしてな
窓も 戸も 玄関も み~んな開けた
風が おもてから裏へ おだやかに 抜けてなあ
ほんとに 気持ち 良かった
あぐらくんで 風に あたりながら 
ふとん干しはお父さんの 仕事だったなあって
思い出したら  涙 出た

今夜の 布団には 
セシウムが くっついているかも しんねえ
心配だったら マスクして寝れば 大丈夫
はは これは 冗談 
だども
やっぱし 出ること 考えねば なんねえ
こんなこと いつまでも 続けられねえしな

(2013.10.7)

 

 5. パネルディスカッション&会場との質疑応答
 橋本俊彦さん・関久雄さん・星ひかりさん・光前幸一さん(子ども脱被ばく裁判弁護団)・司会 柳原敏夫


 
 

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