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2023年9月28日木曜日

【第117話】福岡県の母親甘蔗珠恵子さんの書いた、いちばん長い手紙「まだ、まにあうのなら」を知って思ったこと(2023.9.28)。

 今年の夏、初めて福井に行き、当地の人から、
チェルノブイリ事故の直後、福岡の主婦が地方出版社から出した小冊子が原発を憂う全国の主婦に爆発的に広がったことがあり、50万部売れたそうです。

という話を教えて貰いました。?!と半信半疑でネットで調べたら、以下の通り、ホントの話でした。
 人類の行く末を案じた一人の母親の叫びが、全国の主婦や若者たちに脱原発の行動を促した。50万部を超えた脱原発のバイブル。


早速、取り寄せ、手に取ってみて、次のことを思った。

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 1986年のチェルノブイリ事故直後に無名のお母さん(甘蔗珠恵子さん)が書いた手紙が50万部売れた。その題名は
「まだ、まにあうのなら」
それは、
チェルノブイリ事故は起きてしまったけれど、自分の住むこの日本でまだ、チェルノブイリ事故のような原発事故を起さないうちに原発を廃絶できるのなら
という意味だと思う。その意味でなら、2011年の福島原発事故のあと、その答えは
「もう、まにあわなかった」

確かに、もう、まにあわなかった。けれど、福一の吉田所長のような鬼籍に入った人たちとちがって、311後も生き延びることができた私たちには依然、何をなすべきかという問いかけが課せられている。
問題は、311後に、チェルノブイリ事故直後に思い詰めたこのお母さんのように私たちもまた思い詰めたとき、福島原発事故のあとにどのような問いかけが可能なのだろうか。福島原発事故を経験した私たちにとって正しい問いかけとは何か。311後にもはや、このお母さんと同じような次の問いかけは不可能だ。
福島原発事故は起きてしまったけれど、私の住むこの日本でまだ、第2の福島原発事故のような原発事故を起さないうちに原発を廃絶できるのなら

それではまた同じ答えをくり返すだけだから。そして、この問いかけには、311福島原発事故後の日本社会の底が抜けたような破綻ぶりを踏まえて、その破綻を克服するという力強い展望がどこにも感じられない。単に311前からのスローガンのくり返しにしか聞こえない。

これに対し、チェルノブイリ法日本版は、311福島原発事故後の日本社会の底が抜けたような破綻を克服するという力強い展望が秘められたものだ。単に、ノー(さよなら原発)と言うのではない、積極的にイエス(生存権を具体的に実現)を言う、それが日本版の思想だ。

例えば、

【第4話】 【NOでは足りない、つつましいYESの提案】

 

2023年9月26日火曜日

【116話】行政の人権侵害にお墨付きを与えるような裁判官は要らない。本日、裁判官の忌避を申し立てた(2023.9.26)

先ごろ、岸田首相は、NY国連本部で《我々は、人間の命、尊厳が最も重要であるとの原点に立ち返るべきです。我々が目指すべきは、脆弱な人々も安全・安心に住める世界、すなわち「人間の尊厳」が守られる世界なのです》と「脆弱な人々も安全・安心に住める世界」と「人間の尊厳」の重要性を高らかに訴えたが、その国連から任命され、福島原発事故の避難者(国内避難民)の人権状況を調査するため、2022年9月26日来日したダマリー国連特別報告者は離日直前に、本裁判に対し「賛成できない。避難者への人権侵害になりかねない」と国連特別報告者としては異例の厳しい警告を発した(詳細は別紙参照)。すなわち、本裁判は、日本の首相が強調する「脆弱な人々も安全・安心に住める世界」が真実なのかそれとも偽善なのか、その真価が正面から明るみにされる、国際社会がこぞって注視しているリトマス試験紙なのである。 (本日申し立てた裁判官忌避申立書の冒頭より)

 福島原発事故により避難を余儀なくされた避難者、これを国際法上、「国内避難民」と呼び、日本政府も認めている。この「国内避難民」に仮設住宅として提供された国家公務員宿舎から出て行きなさいと福島県から提訴された避難者の「追い出し裁判」、この裁判の一審判決が今年1月13日、福島地裁で言い渡され(その報告はー>こちら)、これに全面的に何ひとつ承服できないとして仙台高裁に控訴していた二審の第1回弁論が7月10日に開かれ、この日を、一審が審理途中でフタをして終結を強行した過ちをただすスタートだと避難者側は考えていたところ、仙台高裁は突然、「これで終結する。判決は9月27日‥‥(早口で小声)」と宣言して退場してしまった(その顛末の報告はー>こちら)。

この裁判に対し、国連から任命され、福島原発事故の避難者(国内避難民)の人権状況を調査するため、昨年2022年9月26日来日したダマリー国連特別報告者は離日直前に、本裁判に対し「(福島県の提訴に)賛成できない。避難者への人権侵害になりかねない」と国連特別報告者としては異例の厳しい警告を発した(詳細はー>こちら)。
世界の良識が、本訴の提起を「
避難者への人権侵害になりかねない」とイエローカードを出して、裁判所に「人権の最後の砦」としてのミッションを果たすことを求めているのに、その期待を真摯に受け止めるどころか、福島県の追出しにお墨付きを与えるだけの裁判所だったら、そのような二重の人権侵害のための組織は要らない。そう考えて、「人権侵害の最後のお墨付き」に堕落した裁判官に、これ以上の人権侵害は辞めてもらいたいと、本日、裁判官忌避の申し立てに及んだ。

以下、その申立書と仙台高裁前で申立てに向う控訴人代理人。

全文のPDF->こちら



 

【第171話】最高裁にツバを吐かず、花を盛った避難者追出し裁判12.18最高裁要請行動&追加提出した上告の補充書と上告人らのメッセージ、ブックレット「わたしたちは見ている」(24.12.20)

1、これまでの経緯 2011年に福島県の強制避難区域外から東京東雲の国家公務員宿舎に避難した自主避難者ーーその人たちは国際法上「国内避難民」と呼ばれるーーに対して、2020年3月、福島県は彼らに提供した宿舎から出て行けと明渡しを求める裁判を起こした。通称、避難者追出し訴訟。 それ...