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2023年5月26日金曜日

【第105話】第18回新宿デモのスピーチ「新宿デモの過去・現在・未来」(23.5.26)

 坂本龍一さんも何回も呼びかけ人になり、メッセージを寄せてくれた新宿デモが2013年2月23日の第1回から今回で18回目のデモを、今年5月21日にやった。

        2013年2月23日第1回新宿デモの動画
 この第1回デモの報告->速報1 速報2 速報3(映像のまとめ)


以下は、この18回を振り返った当日の柳原のスピーチです。

★Keitaroさんのツイキャスのー>ここから(「以下の画像をクリック」でもOK)


新宿デモ 過去・現在・未来

 こんにちは。 私はこの新宿デモの過去と現在と未来を 振り返って思ったことを喋らせていただきます。

10年前の 2013223日 今野さんがおっしゃった子ども脱被ばく裁判の もう一つ前のふくしま集団疎開裁判というものがありまして、それが 仙台高裁で異例のですね、審理が3回も行われ、それが終わったところであとは裁判所の判決を待つばかり、その判決前のアクションとしてこの新宿デモが企画されました。

その時に相馬市から秋田に 避難したお母さんがデモに参加してこう発言しました(全文はー>こちら)。

自主避難してもみんな泣いています。置いてきた旦那の体は大丈夫か。家族は大丈夫か。子どもの友達は大丈夫か。皆皆、泣いています。
なぜこんなことになったんでしょうか。それは爆発した時に 逃がさなかったからです。
あの時。政府が逃がさなかったから、今でもごちゃごちゃしてるんです。

この言葉は12年経った今でも全く変わりません。

3.11直後にデモに参加することは ごく自然なことでした。
しかし 事故から12年経った今、この今ですね、このように参加することが実はものすごく大切なんだと実感しています。 

ベラルーシのノーベル賞作家のスベトラーナさんは、原発事故というのは戦争だと言いました。
これは いま、今野さんが言った子ども脱被ばく裁判を提訴した 2014年の8月に 原告の1人の子どもさんが自分の家から見える風景を絵にして、記者会見の場に持ってきました。


この子どもの家の周りはまさに戦争の状態です。除染された放射性物質を入れたフレコンバッグが家の周りに山積みにされている。それがこの子どもの目に写る「僕の家の周りの光景」だったんです。

健康被害に関しては、3.11直後は 戦争前夜でしたが、
実は今、この健康被害に関しては、戦争のまっただ中にあります。

だからこそ、そのために私たちは今声を上げて、デモの中で声を上げて、健康被害から、今からでも遅くない、子どもたちの命・健康を守れ、ということを言うのが本当に今求められているのです。

 

私は、この連休、私の義理の福島の叔母に会ってきました。彼女は、6年前に亡くなった、急死した夫の、叔父の話を初めて私に聞かせてくれました。

叔父は、実は自分が死ぬとは思っていなかった、と。なんでこんなに具合が悪いのか、 医者に聞いても 医者はさっぱり要を得ない返事しかしなかった、と。その結果、ある日突然、急死してしまいまして、その叔母は本当にオロオロしていました。

しかも、その叔父を診察した医者自身がこのあと、うつ病になって 患者の治療ができなくなったということです。叔母は、もう本当に、おかしなことだらけがずっとあったんだと 初めて口にしました。

また、私は 昨日、 3.11甲状腺が裁判の原告の人の通院の付き添いに一緒に行きました。待合室で待っている間、その彼女の話を聞きながら、この方は一番最後にこの裁判の原告になった方ですが、手術の後ずっと自分のことを責めて、自分に落ち度があったからこんな病気になったというふうに責めていたんだけれども、去年、 3.11甲状腺がん裁判の提訴を知って、自分もこの裁判に加わりたいと自ら参加を名乗り出ました。彼女はその病気がですね、本当に自分のせいなのか、あるいは 原発事故による被ばくのせいなのかそのことをはっきり知りたいと、いつも自分を責めるようなことはしたくない、そのためには声を上げたいと、行動したいと言って、遮蔽もせずに裁判所で意見陳述をしました。

このように今、 子どもたちすら自分の病気、自分の健康はですね、なぜこんなふうになったのかそのわけを知りたいと声を上げるようになって います。


私は正直、これまで、なぜ福島の子どもや人たちは黙っているのか、声を上げないのか、そのことをずっと不思議に思ってきました。しかし、今、考えが変わりました。というのは福島の人たちも3.11から10年以上経って今ようやく ポツリポツリと自分が受けた体験、自分がうけた病気をですね、しゃべり始めるようになっ たからです。

なぜ10年間かかったか。それは福島の人たちが臆病でも、人見知りでもないんです。それは 原発事故という、私たちが過去に 経験したことがないような未曾有な事故に遭って、そのことが一体ですね、何だったのか、ちっと訳がわからず、 途方に暮れ、翻弄されたからです。

しかし今、事故からようやく10年以上経って、自分たちの身に起きたことの意味を、もう一回ですね、理解したいと口に出して行動を起こすようになりました。だから、他の事故や問題はともかく、原発事故、これは収束まで100年かかる大変な事故です。
だから今こそ、これから声を上げることが必要であり、求められています。

このことを今、福島の人たちも実感し、ポツリポツリと声を上げ始めています。

この「小さき人々の声」を共有して、今日私たちも、思いを新たにして、新しい スタートを 切る決意で、このデモに一緒に取り組もうと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。

 

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