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2022年10月24日月曜日

【第91話】追出し裁判で、まともな審理を何一つしないまま審理終結を強行し、10月27日判決言渡しを通告してきた福島地裁に対し、弁論再開申立書を提出(2022.10.21)

避難者の住宅追出し裁判で、7月26日、まともな審理を何一つしないまま審理終結を強行した福島地裁は、10月17日に、「10月27日午前11時40分に判決言渡し」を通告してきました。

この通告に対して、被告の避難者は、憲法が保障する「裁判を受ける権利」を被告の避難者に保障するように、福島地裁に対し弁論再開申立書を提出しました。

その全文は->こちら

その冒頭と末尾を以下に紹介します。

 ******************

1、はじめに

国連人権理事会から任命され、福島原発事故の避難者(国内避難民)の人権状況を調査し、国連人権理事会に報告するセシリア・ヒメネス・ダマリー国連特別報告者が調査のため9月26日から10月7日まで来日し、離日時に共同通信との単独インタビューの中で、福島県が、支援終了後も公務員住宅に住む自主避難者に退去を求めて提訴したこと(まさしく本裁判のことである)に対し、「賛成できない。避難者への人権侵害になりかねない」と警鐘を鳴らした(以下の写真及びインタビューの詳細は別紙参照)。


国連による原発事故避難者の本格的調査は初めてであり、その調査の中で、国内避難民である自主避難者の追出しを求める本裁判についても国連特別報告者により「この提訴には賛成できない。避難者への人権侵害になりかねない」と初めて言及された。その言及は本裁判において、被告らが終始一貫して主張してきた「この提訴は国際人権法が国内避難民に保障する居住の権利を侵害するものであり、許されない」と軌を一にするものである。すなわち被告らの主張は世界の良識に合致していることが示された。

ところで、裁判所は、この間、被告らが原告による人権侵害からの救済を求めて、6つの抗弁の争点整理と6名の証人及び当事者尋問による徹底的な真相解明を訴えてきたにもかかわらず、これをことごとく無視或いは退け、去る7月26日、審理終結を強行した。しかし、このたび、ダマリー国連特別報告者の本裁判に対する重大な懸念の表明に接し、被告らは本裁判が日本の我々にとってのみならず、世界中の人々と良識にとっても失敗することが許されない重大な試練であることを思い知らされた。そこで、本裁判が世界の良識に耐え得るだけのものであることを示すためには、裁判所が世界中からの注目と良識に耳を澄まし、弁論再開を決断し、被告らの「適正、公平な裁判を受ける権利」が保障されるに相応しく、6つの争点整理と6名の尋問による徹底的な真相解明を努めるしかないことを確信するに至った。

そこで、以下の理由の通り、被告らは裁判所に対し、民事訴訟法153条に基づき、口頭弁論の再開がなされることを求めるものである。

 

、結語

以上の通り、被告らからの切なる求めにも関わらず、裁判所が口頭弁論を再開して真相解明のため被告らが申請した証人尋問を実施することをせず、そして原告に対して適正な釈明権を行使せず、被告らの上記抗弁事実に対して原告が認否・反論を拒否し続ける場合には、こうした原告の争点整理のボイコット自身が、国賠法の違法行為に該当するのみならず、こうした事態を引き起こした根本的な原因は、原告の不誠実かつ違法な争点整理のボイコットの是正に積極的に取り組まない裁判所の怠慢さにある。そこで、裁判所がこのボイコットを解決せず、上記抗弁事実について被告らに主張・立証を尽くさせないまま、被告ら申請の証人及び本人尋問の申請を全て却下して審理を終結し判決を出すに至った場合には、「釈明権行使を怠ったことによる審理不尽の違法がある」として当該判決の破棄は必至である。

のみならず、被告らが、この間、こうした争点整理の過程における違法状態の改善是正の必要性を再三強く求めているにも関わらず、裁判所がこれに背を向け続け、争点整理のため原告に釈明権を行使しないことは許されないことであるから、かくなる場合に被告らに残された最後の途は、被告らの「適正、公平な裁判を受ける権利」を回復しその保障を実現するために、裁判官の忌避の申立て及び裁判官に対する国賠請求しかないことを伝え、口頭弁論再開について裁判所の決断を強く要請するものである。

 かつて東京地裁行政部で名を馳せた藤山雅行裁判官は、「法律家の仕事は同時代のみならず歴史的な評価にも耐えうるものでなければならない」と述べた[1]。本裁判はこの言葉が文字通り当てはまる。しかも単なる日本史ではなく、世界史の評価である。冒頭のダマリー国連特別報告者の言葉はそのことを余すところなく示している。本裁判は決して世界史の汚点となってはならないのである。

以 上



[1]藤山雅行編「新・裁判実務大系 第25巻 行政争訟」藤山雅行「はしがき」

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